ワンポイント税務情報

Vol.011

印紙税の基礎知識~貼り忘れ等に注意~


飲食業、宿泊業や建設業のように、領収書や契約書など収入印紙(印紙)を貼らなければならない文書が比較的多い業種では、法人税や消費税の税務調査と併せて、印紙税の調査が行われることがよくあります。調査では、印紙の貼付の誤りや貼り忘れなどが指摘されます。

印紙を貼らなければならない文書

印紙を貼らなければならない文書を課税文書といい、「印紙税額表」に掲げられた20種類の課税文書とその記載金額をもとに定められた税額分の印紙を貼ります。

 課税文書のうち、一定の金額未満が非課税とされる文書(受取金額が5万円未満の金銭の受取書等)などは非課税文書とされ、印紙を貼る必要がありません。また、印紙税額表に掲げられていない文書は、不課税文書とされ、印紙税は課税されません。(図表1)

タイトルだけで判断しない

印紙を貼る必要がある文書かどうかは、文書の内容によって判断され、タイトル(名称・呼称等)とは関係ありません

 例えば、物品の売買代金の受領に際して、領収書を発行せず、請求書に「代済」「了」などと表示して済ませている場合があります。

 この場合、タイトルが「請求書」であっても、文書に記載された金額を受領したという意味であることから、金銭の受取書に該当するため、印紙の貼付が必要になります。 

 そのほか、文書のタイトルが「覚書」「念書」となっていても、記載内容が請負や継続取引(特約店や代理店など)に関する契約内容であれば、課税文書と判断されます。

印紙への消印を忘れないこと

印紙税は、印紙を貼り、消印(割印)をすることで、納付したことになります

 消印は、印紙の再使用を防ぐためのものですから、必ずしも契約者や文書作成者自身が消印をする必要はなく、代理人、従業員等が消印をしても問題ありません。印象も、契約書等に押した印でなくても、消印者の印章(署名でも可)で差し支えありません。

 消し方としては、文書と印紙の彩紋とにかけて印章等ではっきりと印紙を消します。単に「印」と表示したり、斜線を引いただけでは、消印をしたことになりません。

 図表1  課税文書・不課税文書の例

課税文書の例不課税文書の例
●不動産の譲渡契約書※●委任状
●土地の賃借権の設定または譲渡契約書※●労働者派遣契約書
●金銭消費賃借契約書※●建物賃貸借契約書
●請負契約書※●抵当権設定契約書
●約束手形、為替手形(10万円未満は非課税文書)●電子文書による契約書や領収書
●継続的取引の基本となる契約書(特約店契約書、代理店契約書、銀行取引約定書など)
●領収書(5万円未満は非課税)
(※)1万円未満は非課税文書になります。

貼り忘れ等には最高で3倍のペナルティー

例えば、課税文書であることを知らなかったり、単なる貼り忘れで印紙を貼っていなかった、あるいは印紙を貼ったものの金額不足や消印漏れがあったという場合があります。税法では、故意、過失に関係なく、印紙が正しく貼られていなければ、納めなかった印紙税の3倍の過怠税(本来の印紙税額+その2倍相当の金額。最低1,000円)が追徴されます。

 ただし、貼り忘れ等に気づいて、自己申告(不納付の申し出)をした場合には、過怠税は1.1倍(本来の印紙税額+その10%相当の金額)に軽減されます。

 消印漏れについては、消印されていない印紙の額面と同額の過怠税が追徴されます。

 過怠税は、その金額が法人税の損金や所得税の必要経費にはなりません。


印紙税の時効は5年
 過去に契約書等の課税文書に印紙の貼紙の貼り忘れ等があったとしても、5年を過ぎれば時効となります。

 参考  消費税額等を含むかどうかで、印紙税額が変わることも!?

不動産売買契約書、請負契約書、領収書などの金額に消費税額等が含まれている場合に、消費税額等が区分記載されていたり、税込価格と税抜価格が記載されているなど、消費税額等が明らかな場合には、記載金額に消費税額等は含みません(免税事業者については、消費税額等の金額が区分記載されていても、消費税額等に相当する金額

は記載金額に含めます。)

 印紙税は、課税文書の記載金額に応じて税額も大きくなりますから、取引金額によっては、消費税額を明らかにすることで、節税になる場合もあります。


【例】請負金額1,080万円、うち消費税額等80万円の場合

①請負金額1,080万円 税抜価格1,000万円
②請負金額1,080万円 うち消費税額等80万円
③請負金額1,000万円 消費税額等80万円
              計1,080万円

消費税額等が明らかなため
●記載金額は1,000万円
●印紙税は1万円
④請負金額1,080万円 (税込)
⑤請負金額1,080万円 消費税額等8%を含む

消費税額等が明らかでないため
●記載金額は1,080万円
●印紙税は2万円

Vol.012

マイホームを購入・新築、リフォームするときの税制の特例


マイホームの購入・新築、増改築等の、住宅ローンを組んだり、親からの資金贈与を受けた際に減税される優遇制度があります。これらの制度は、消費税の延期に伴い期間が延長されています。

住宅ローン控除~税金を還付できる制度

 マイホームを購入・新築、増改築等した場合の「住宅ローン控除」(住宅借入金等特別控除)は、一定の要件のもと毎年の住宅ローン残高の一定額を所得税から控除できる制度です。
所得税から控除しきれない場合には、住民税からも一部が控除されます。(図表1)

住宅ローン控除の主な適用要件

・控除を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下
・住宅(マンションの場合は専有部分)の床面積が50㎡以上で、その2分の1が専ら自分の住居用であること
・店舗や事務所との併用住宅の場合は、店舗や事務所部分を含めた面積     等々

耐震・省エネリフォーム減税の特例~特定の増改築等に係る住宅ローン控除

 住宅ローンを利用して特定の増改築(バリアフリー・省エネ改修工事)をした場合にも、住宅ローン残高の一定額を所得税から控除することができます。(図表2)

 図表1  住宅ローン控除

消費税の引上げ延期に伴い、適用期間が平成33年12月31日までに延長されています。


居住した年

住宅ローンの年末

残高の限度額

控除率 控除期間

各年の

控除限度額

最大控除額
一般住宅


平成26年4月1日~

平成33年12月31日

4,000万円 1% 10年

40万円
※2

400万円

認定住宅

※1

5,000万円 1% 10年 50万円 500万円

※1 認定住宅とは、所管行政庁の認定を受けた耐久性や省エネに優れた住宅です。
※2 特定所得に該当しない場合は20万円

 図表2  特定の増改築に係る住宅ローン控除(平成26年4月1日~平成33年12月31日)

●控除額
A×2%+(B-A)×1%=控除額(最大12万5,000)円)/控除期間は5年間(最大62万5,00円)
A=増改築等の住宅ローンの年末残高のうち、バリアフリー改修工事や特定断熱改修工事等
にかかった費用に相当する部分の金額(特定増改築等限度額250万円)
B=増改築等の住宅ローンの年末残高(最高1,000万円)

長期優良住宅化リフォーム減税の創設 ~耐久性向上改修工事が減税対象に~

 平成29年税制改正において、特定の増改築等に係る住宅ローン控除の特例が次のように拡充されます。
① 適用対象に特定の省エネ改修工事と併せて行う一定の耐久性向上工事が加わりました。
② 特定の省エネ改修工事と併せて行う一定の耐久性向上改修工事の費用に相当となる住宅ローンが、税額控除率2%の対象となる住宅ローンの範囲に加わりました。

住宅ローンで改修工事を行った場合、所得税から最大12万5,000円が5年間控除されます。

住宅取得資金の贈与を受ける場合の非課税制度

 マイホームを購入する子や孫のために、父母や祖父母が資金を援助する場合、一定の金額まで贈与税が非課税になる特例があります。

(1) 住宅取得等資金の贈与特例 ~最大で1,200万円まで非課税
父母や祖父母などの直系尊属から、一定の要件を満たす住宅の購入・新築、増改築などのための資金の贈与を受けた場合に、その住宅家屋の区分や契約の締結期間、消費税率などに応じて、一定の限度額まで贈与税が非課税とされる特例です。(図表3)

【消費税の引上げ延期に伴う適用期間の延長】
消費税率10%が適用される場合、8%が適用される場合等の非課税枠の適用期限なども延長され、非課税枠を階段的に縮小させる時期も変更されています。

(2) 相続時精算課税の特例
上記(1)のほか、相続時精算課税の住宅取得等資金贈与の特例があります。この特例については、贈与者の年齢制限がありません。
 具体的には、贈与時に、贈与財産の課税価額の年間合計額から特別控除額(累積で限度額2,500万円)を控除した後の金額に対して、一律20%の税率を乗じて贈与税を納め、贈与者が亡くなった時に、相続財産にその贈与財産を(贈与時の価額)を加えて相続税額を計算し、すでに支払った贈与税額を控除します。この制度を選択すると、その選択に係る贈与者から受ける財産については、その選択をした年分以降全てこの制度が適用されます。この制度は、上記(1)の制度と併用することができます。

【消費税の引上げ延期に伴う適用期間の延長】
この特例は、平成33年12月31日まで延長されてます。

 図表3  住宅取得等資金の贈与特例の非課税限度額


右記以外の方 消費税率10%が適用される方
省エネ等住宅 左記以外の住宅用家屋 省エネ等住宅 左記以外の住宅用家屋
平成28年1月~
平成31年3月

1,200万円 700万円
平成31年4月~
平成年3月

1,200万円 700万円 3,000万円 2,500万円
平成32年4月~
平成33年3月

1,000万円 500万円 1,500万円 1,100万円
平成33年4月~
平成33年12月

800万円 300万円 1,200万円 700万円

Vol.013

特例事業承継税制を活用しよう


今後10年間に、70歳を超える中小企業等の経営者は約245万人になりますが、その半数以上は事業承継の準備ができていないと言われています。後継者への引き継ぎを支援するために、平成30年度税制改正では、「特例事業承継税制」が10年間の期間限定の措置として創設されました。

後継者の自社株の税負担がゼロに

 先代経営者が後継者に非上場企業株式等を贈与・相続した場合に、その納税の猶予を受けることができる従来(現行)の事業承継税制(以下、現行税制)では、納税猶予の対象となる株式数、評価額の割合、雇用要件の確保などに様々なリスクや不便さがあり、適用を見合わせる例もありました。
 新たに創設された「特例事業承継税制」(以下、特例税制)では、現行税制の要件を大幅に見直して、不便さの解消を図り、大変利用しやすくなっています。(図表1)
 特に、対象株式数の上限撤廃(現行税制は3分の2まで)と、猶予対象の評価割合が100%(現行税制は贈与:100%、相続:80%)になったことで、後継者が取得する自社株式への贈与税・相続税の負担がゼロにできることが大きなメリットとなりました。

 図表1  要件等が大幅に緩和され利用しやすくなった特例税制


現行税制特例税制
対象株式発行済議決権株式総数の3分の2発行済議決権株式数総数のすべて
評価割合贈与:100%、相続:80%100%
贈与者【改正前】先代経営者のみ
【改正後】複数の株主
複数の株主
後継者後継経営者1人のみ後継経営者3名まで(10%以上の持株要件あり)
雇用確保要件5年平均で80%を維持雇用確保要件を実質的に撤廃
*雇用確保要件を満たさなくなった場合、認定支援機関の意見(経営悪化の場合は、指導・助言)があれば猶予が継続
相続時精算課税子・孫のみ子・孫以外の親族や第三者まで適用可能
承継期間後の減免民事再生・会社更生時にその時点の評価額で相続税を再計算し、超過部分の猶予税額を免除譲渡・合併による消滅・解散時も追加。この場合の売却・廃業時の株価で再計算し、納税猶予額が下回る場合は差額を減免
特例承継計画不要必要(提出期限:平成30年4月1日から5年間)
適用期間制限期間なし平成30年1月1日から平成39年12月31日の贈与・相続まで

納税猶予を受けるための手続きの流れ

 特例税制の適用を受けるためには、「都道府県知事の認定」「税務署への申告」の手続きなどが必要となります。
①承継計画の策定
 まず、「承継計画」を策定します。この計画は、平成30年4月1日から平成35年(2023年)3月31日までの間に、認定経営革新等支援機関の指導・助言を受けて作成したものでなければなりません。その「承継計画」は、都道府県への提出が必要になります。
*平成35年(2023年)3月31日までの相続・贈与を行う場合、相続・贈与後の承継計画提出も可能です。
②贈与又は相続の実行
 平成39年12月31日までに、実際に相続又は贈与を行います。
*平成30年1月1日以降の相続・贈与が対象です。
③適用要件を満たしていることの認定を受ける
 相続・贈与後は、都道府県に申請し、認定を受けます(承継計画を添付します)。
【申請期限】
●贈与税の納税猶予:贈与翌年の1月15日まで
●相続税の納税猶予:相続開始日後8か月以内
④税務署への申告
認定書の写しとともに、贈与税又は相続税の申告書を提出します。
*贈与税の納税猶予の場合で、相続時精算課税制度の適用を受ける場合には、その旨を明記します。
⑤申告後も届出等が必要
 申告後についても、5年間は、毎年、都道府県への報告と税務署への届出など所定の続きが必要になります。

 参考  特例税制を適用した場合としない場合の比較

簡単な計算例を使った設例をもとに、特例税制を適用した場合と適用しない場合の相続税額や猶予税額の違いを確認してみましょう
設例
遺産総額3億円(自社株評価額1億円・現預金2億円)
相続人 子供2人(長男・二男)
長男(後継者)→自社株1億円と現預金1億円を相続/二男→現預金1億円を相続

Vol.013

特例税制を適用
(1)事業承継税制の適用がないものとして、相続税の総額(約6,920万円)と、各相続人の相続税額を計算します。ここで、二男の相続税額(約2,306万円)が決まります。
(2)長男の相続分が自社株1億円のみとした場合の相続税額を計算し、長男の相続税の猶予税額(約1,670万円)を求めます。
(3)上記(1)で計算した長男の相続税額(約4,614万円)から猶予税額を差し引いた約2,944万円が長男の実際の納税額になります。

*設例は、相続の場合ですが、贈与の場合は、適用要件等を満たせば贈与税の全額が納税猶予されます。その後贈与者が死亡した場合には猶予された贈与税が免除され、贈与時の価格で相続があったものとみなされて相続税が計算され、さらに相続税の納税猶予を受けることになります。

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東京地方税理士会所属