Vol.030 【個人の青色申告者向け】令和9年分所得税から!「青色申告特別控除」が見直されます

令和9年分所得税から、「青色申告特別控除」の適用要件と控除額が見直されます。キーワードは「複式簿記」「電子申告」

「優良な電子帳簿の保存」の3つ。令和91月からスムーズに対応できるよう、今のうちから改正内容をおさえておきましょう。

「複式簿記+電子申告」が新スタンダード! 控除額は「75万円・65万円・10万円に」

青色申告特別控除は、個人の青色申告者(不動産所得または事業所得のある青色申告者)のみが受けられる

青色申告の特典(そもそも解説①)1つです。

そもそも解説① 青色申告の特典

1年間(11日から1231日までの間)に生じた所得金額を正しく計算し申告するためには、収入金額や必要経費に関する日々の取引の状況を帳簿に

記帳し、取引に伴い作成したり受け取ったりした書類を保存しておく必要があります。

不動産所得、事業所得、山林所得があり、かつ一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告する人については所得金額の計算などについて

有利な取り扱いが受けられます。これが青色申告の特典です。

 青色申告の特典は、青色申告特別控除のほか、①青色事業専従者給与②貸倒引当金③純損失の繰越しと繰戻し―などに関する特別の取扱いが

定められています。


国税庁タックスアンサー「No.2070 青色申告制度|国税庁(令和871日現在)

  現行制度では、満たすべき要件によって「65万円」「55万円」「10万円」の3つの控除額が設けられていますが、令和9年分の所得税から、

一定の要件のもと、「75万円」「65万円」「10万円」となります(図表)

★対象者:不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営んでいる青色申告者(現金主義によることを選択している場合を除く)

★届出:「75万円」の控除を受けるためには、確定申告期限までに一定の事項を記載した届出書を税務署に提出する必要あり

今回の改正は、複式簿記による記帳と電子申告の普及を後押しするもの。政府が推進している、「取引から会計・税務までのデジタル化(デジタル

シームレス)の普及」に向けた環境整備の一環でもあります。一方で、簡易簿記による記帳や書面申告を行う場合、控除額が大幅に下がるため、

実質的な税負担が増えることになります。

 

◎青色申告特別控除 65万円→75万円(複式簿記+電子申告+優良な電子帳簿の保存等)

「正規の簿記の原則」(複式簿記)に従って記帳をし、「帳簿」(仕訳帳・総勘定元帳)に関して電子帳簿保存法に規定される「優良な電子帳簿の保存」

(そもそも解説②)など一定の要件を満たし、かつ期限内に所得税の確定申告書と決算書等の提出を、e-Taxを使用して電子申告をしている場合は、

青色申告特別控除額が「65万円→75万円」に引き上げられます。(確定申告期限までに税務署への届出が必要)

そもそも解説② 「優良な電子帳簿の保存」

 税法上保存が必要な「帳簿」(仕訳帳・総勘定元帳等)および「書類」(請求書・領収書等)をパソコン等で作成している場合、次の2つの要件を

満たせば、プリントアウトすることなく電子データのまま保存することができます。

   システムの説明書やディスプレイ等を備え付けていること

   税務職員からのデータの「ダウンロードの求め」に応じることができること

「帳簿」については、上記①②に加え、次の要件を満たしているものを「優良な電子帳簿」とされます。

   訂正・削除・追加の履歴が残ること

   帳簿の相互関連性があること

   取引等の日付・金額・相手方に関する検索機能があること

75万円」の青色申告特別控除の適用を受ける場合の「優良な電子帳簿」の範囲は、過少申告加算税の軽減措置が適用される場合と異なり、

「仕訳帳・総勘定元帳」に限定されます

※法定申告期限までに所定の届出を提出して

いること、その課税期間の最初から優良な電子帳簿として備付け・保存を行っていること―が必要です。


国税庁Webサイト「電子帳簿等保存制度特設サイト|国税庁(令和871日現在)

青色申告特別控除 55万円→65万円(複式簿記+電子申告/書面申告からの切り替え)

 「正規の簿記の原則(複式簿記)に従って記帳をし、かつ期限内に所得税の確定申告書と決算書等の提出を、e-Taxを使用して電子申告へ切り替えた

場合は、青色申告特別控除額が「55万円→65万円」に引き上げられます。

 

◎青色申告特別控除 55万円→10万円(複式簿記+書面申告)

 「正規の簿記の原則」(複式簿記)に従って記帳をし、かつ期限内に所得税の確定申告書と決算書等の提出を、書面により行っている場合

(書面申告)は、青色申告特別控除額が「55万円→10万円」に引き下げられます。

 

◎青色申告特別控除 10万円→0(簡易簿記/前々年の収入が1,000万円超の場合)

 不動産所得または事業所得があり、その前々年の収入が1,000万円を超え、簡易簿記の方法で記録している場合は、10万円の青色申告特別控除が

受けられなくなります。つまり、「正規の簿記の原則」(複式簿記)に従って記録された帳簿の場合のみ、10万円の青色申告特別控除の適用が認められ

ます。