Vol.029 令和8年10月から「ふるさと納税」が変わる!?


納税者が応援したい自治体を選び、その使途を指定して寄附ができ、地域の名産品などの返礼品も受け取れる―として人気のふるさと納税。

令和810月から、新たなルールのもとでの運用が始まります。事業者(返礼品提供者)や寄附者(納税者)にも影響を与える内容です。

※本稿は、令和861日現在の情報に基づいています。

 

返礼品競争の過熱を抑え地場産品の活用を促すことが目的

 受入額の総額が12,728億円(総務省公表/令和6年度の実績)にも上る、「ふるさと納税」そもそも解説①。自治体が寄附を募集するにあたっては、返礼品の調達費用やポータルサイト手数料、広告費、送料などの経費が発生しています。現在は、返礼品の額(寄附金額の30%以内)

関連経費の合計(募集費用)が寄付金額の50%相当以下とされています。


 そもそも解説① 「ふるさと納税」とは

 ふるさと納税は、自身が選んだ自治体に寄附を行った場合に、寄附金額のうち2,000円を超える部分について、所得税および個人住民税から

原則として全額が控除される制度です。

 控除の対象となる寄附金額には上限があり、収入や家族構成などに応じて異なります。一般に、所得が高い人ほどふるさと納税の対象となる

寄附金額の上限も上がります。


 令和8101日からは、募集費用の割合を寄附金額の40%相当以下、自治体に残る寄附金額(寄附金活用可能額)の割合を60%相当以上と

されます。(図表)。また、製造・加工品等の返礼品は、区域内で「相応(過半)の付加価値が生じている」ことが要件ですが、自治体によって

付加価値の算出方法はさまざまで、地場産品とはいえないケースも。返礼品競争の過熱を抑え、地場産品の活用を促すことを目的に、令和810から「価値の過半が区域内で生じていること」の証明・公表が必要になります。また、一般消費者に対して販売する際の「一般販売価格」よりも、

自治体への納入価格が合理的な理由なく高額である場合は、返礼品として認められません。


 経過措置あり。寄附金活用可能額の割合は、指定対象期間の初日が

令和8101日から令和9930日までに属する場合:52.5%相当以上、

令和9101日から令和10930日までに属する場合:55%相当以上、

令和10101日から令和11930日までに属する場合:57.5%相当以上。


新たなルールで、どうなる?事業者・寄附者(納税者)への影響

 今回のルールの見直しは、自治体側の運用を厳格化・透明化するものですが、結果として、事業者(返礼品提供者)や寄附者(納税者)にも影響が

及ぶことが見込まれます。

 

【事業者(返礼品提供者)への影響】

 事業者(返礼品提供者)は、返礼品の価格(付加価値)についてきちんと説明することが求められます。このため、資料の準備をはじめとした

事務コストが増えると見込まれます。

 

【寄附者(納税者)への影響】

 寄附者(納税者)にとっては自治体に残る寄附金額(寄附金活用可能額)の割合が上がることから、これまでと同じ寄附金額でも返礼品の質や量が

下がったり、同じ返礼品でも寄附金額が上がったりするケースが想定されます。

 

 ふるさと納税によって寄附金控除を受けるには、原則として確定申告が必要です。ただし、給与所得者の場合、確定申告を行わずに控除を

受けられる「ワンストップ特例制度」そもそも解説②を利用することもできます。


 

 そもそも解説② ワンストップ特例制度」とは

 一定の条件を満たせば、確定申告を行わなくてもふるさと納税の寄附金控除を受けられる仕組みです。この制度を利用するには、以下の3つの条件をすべて満たしている必要があります。


① もともと確定申告をする必要のない給与所得者(会社員など)であること

 ※自営業の人や、年収2,000万円を超える会社員、副業収入がある人などは対象外です。

② その年の寄附先が「5自治体以内」であること

  ※同じ自治体に複数回寄附した場合は「1自治体」とカウントされますが、計6自治体以上に寄附した場合はワンストップ特例を使えず、

  確定申告が必要になります。

③ 寄附ごとに、申請手続き(書面またはオンラインによる)を行うこと

  ※ワンストップ特例は、寄附をした翌年の110日までに、各自治体へ申請書とマイナンバー・本人確認書類が届いている、あるいは

  オンライン申請を完了させている必要があります。


 なお、ワンストップ特例の申請後、医療費控除や住宅ローン控除(1年目)などを受けるために確定申告を行う場合は、ワンストップ特例の申請は

すべて無効となります。この場合は、ワンストップ特例の申請をした分も含めて、寄附金控除額を計算する必要があります。



 あるふるさと納税ポータルサイトの調査によれば、ふるさと納税をしている人の4人に1人が「寄附金控除を受けたことがない」とのことです。

せっかく寄附したのに、寄附金控除を受けないのはもったいないもの。最近では、ワンストップ特例も確定申告もオンラインで簡単にできるように

なっています。期限内に忘れずに手続きするようにしましょう。

 

Tips 企業版ふるさと納税

 「企業版ふるさと納税」は、自治体の地方創生プロジェクトに対して企業が寄附を行った場合に、法人関係税から税額控除する仕組みです。

損金算入による軽減効果(寄附額の約3)と合わせて、税額控除(寄附額の最大6)により、実質的な企業の負担が約1割まで軽減されます。

 企業にとっては、税制上の優遇を受けながら、社会貢献を通じたイメージ向上や事業機会の創出につながります。


内閣府Webサイト「企業版ふるさと納税ポータルサイト」(令和8年6月1日現在)