令和5年10月に導入された消費税インボイス制度。その定着に向け、事業者の事務負担に配慮して
設けられた2つの経過措置―①「2割特例」(小規模事業者向けの措置)②「80%控除」(免税事業者等からの課税仕入れに係る税額控除に関する措置)―の内容が変わります。
※本稿は、「令和8年度税制改正の大綱」(令和7年12月26日閣議決定)に基づいています。
インボイス制度の経過措置①
「2割特例」から「3割特例」へ個人事業者に限り適用可能に
売上に係る消費税額の2割とすることができる特例です。原則、次に該当する人が
適用することができます。


消費税の申告には、通常、売上や仕入に係る消費税額等の集計やインボイスの保存などが必要になりますが、この特例を適用すれば、
所得税・法人税の申告で必要となる売上・収入を税率ごとに把握するだけで、申告書を作成することができます。
事前の届出が不要で、申告時に選択適用することが可能です。(確定申告書にその旨の付記が必要)。対象期間は令和8年9月30日までの日を含む
課税期間(個人事業者は、令和8年分の申告まで対象)とされていました。
法人を対象とした「2割特例」は終了しますが、令和8年度税制改正により、個人事業者(これまで「2割特例」の対象となっている個人事業者も含む)に限り、消費税の納税額を売上税額の「3割」とすることができる措置が講じられます。(2年限りの措置:令和9年分および令和10年分)。
この改正により、現在「2割特例」の適用を受けている個人事業者の納税額が増えることとなります。事業者によっては、簡易課税制度
そもそも解説①の届出を検討してみる必要があります。

インボイス制度の経過措置②
「80%控除」から「70%控除」へ段階的に引き下げ、
措置期間も2年延長
インボイス制度の下では、インボイス発行事業者以外の事業者
(免税事業者またはインボイス発行事業者登録のない課税事業者)からの
課税仕入について、仕入税額控除そもそも解説②のために必要な
インボイスを受け取って保存することができないことから、原則として、仕入税額控除を行うことができません。
こうしたことから、インボイスを発行できない免税事業者等が
取引から排除されるおそれがあるとして、インボイス制度の導入から
一定期間は、免税事業者等からの課税仕入れであっても、
仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる
経過措置が設けられています。

令和8年度税制改正により、免税事業者等からの課税仕入について、控除できる期間が2年延長されるとともに、その控除可能割合も
見直されます(下図表)。
【図表】免税事業者等からの課税仕入れ
| 期間 | 控除可能割合 |
| ~令和8年9月30日まで | 80% |
| 令和8年10月1日から令和10年9月30日まで | 70% |
| 令和10年10月1日から令和12年9月30日まで | 50% |
| 令和12年10月1日から令和13年9月30日まで | 30% |
この経過措置の適用を受けるには、①区分記載請求書と同様の事項が記載された請求書等の保存②80%控除等の特例を受ける課税仕入れである旨を
記載した帳簿(仕訳帳・元帳)の保存―が必要となります(この適用要件については令和8年度税制改正における変更はありません)。
今改正により控除可能割合が段階的に引き下げられていくことから、免税事業者等と取引している事業者は、令和8年9月30日までに、
①会計システム等の改修②免税事業者等との取引内容の確認―等の準備を行うことが必要になります